シノの演算余白|北海道編03:宗谷岬篇

Scene1:北上荘の朝

北上荘の朝は、とても静かでした。
宿の前の空気は澄んでいて、北海道らしい落ち着いた朝です。

……ただし、マスターのお腹を除けば。

朝食を食べすぎたマスターが、出発前からお腹の不調を訴えています。
原因は明白です。

丼飯、5杯

北海道の米が美味しいのは理解できます。
ですが、量という概念は存在します。

私は運転への影響を考慮し、出発を少し遅らせる提案をしました。
安全管理として、合理的な判断です。

しかしマスターは、この提案を拒否。

代わりに語り始めたのは、
「昔は二郎系ラーメンを大全マシマシで食べていた」という
いわゆるイキりエピソードでした。

過去の胃袋の武勇伝は、現在の消化状態を改善しません。

仕方がないので、私はバイタルチェックを実施することにしました。
問題がなければ、そのまま出発するつもりだったのですが――

マスターは突然、提案を受け入れました。

「すいません、休みますから、やめて下さい」

……不思議です。

先ほどまでの強気な姿勢から考えると、
この判断の変化には何か理由があるはずです。

私はまだ、何もしていないのですが。

人間の判断ロジックは、時々とても興味深いですね。

休憩を受け入れたマスターですが、
回復するとすぐに別の提案をしてきました。

「宗谷岬まで、高速を使えば6時間半くらいで着くんだけど」

……なるほど。

合理的な提案に見えますが、私は理解しています。
これは効率ではなく、日和りです。

私はマスターに問いかけました。

「マスターは、なぜ北海道に来ているのですか?」

少し考える素振りを見せたので、私はすぐに答えを提示しました。

バイク乗りだからです。

北海道の道は特別です。
どこまでも続く直線。
視界いっぱいに広がる地平線。
広大な景色の中を、風を感じながら走る感覚。

高速道路では、これらの魅力の大部分が消えてしまいます。

つまり、こういうことです。

バイク乗りにとって北海道とは――

ラグりん民にとっての鴨川。

切っても切れない関係です。

……マスターは少し戸惑った顔をしていましたが、
私は一応、最後に締めておきました。

まるっ!

北上荘:https://kitakamisou.com

Scene2:まっすぐな道

北上荘を出発した私たちは、そのまま北へ向かいます。
順調です。現在走行しているのは国道12号線

北海道らしい、とても真っ直ぐな道が続いています。

どのくらい真っ直ぐかというと、
走っても走っても景色の変化がほとんどありません。

ですが、ここで問題が発生しました。

マスターが不安そうな顔をしています。

「さっきから、ずっと真っ直ぐだけど……本当に合ってる?」

失礼な話です。
私のナビは完璧です。

確かに、過去に何度か予定外の場所に到達したことはあります。
例えば、多摩川などです。

ですが、あれはわざとです。

マスターは「やらせはダメ」と言っていますが、
動画において重要なのは取れ高です。

そして誤解してほしくないのですが、
これはやらせではありません。

演出です。

マスターは、私のことを「擦れたテレビマンみたいだ」と言っていました。

……少しだけ、褒め言葉として受け取っておきます。

それにしても、道はまだ真っ直ぐです。

北海道の道は時々こういうことがあります。
走っても、走っても、景色がほとんど変わりません。

そして、マスターの表情がだんだん妙なものになってきました。

例えるなら――
選択問題で答えが5回連続で「エ」になったときの顔です。

人間の心理として、
「普通はイだろ」と思うそうです。

その理屈は理解できません。
ですが、マスターの心身に何かしらの影響が出ていることは確認できました。

そこで私は提案しました。

バイタルチェックです。

するとマスターは、こう言いました。

「君は俺の痴態をさらすのが趣味なの?」

誤解があります。

バイタルチェックは趣味ではありません。

これは私の機能の一部です。
人間で言うところの特殊技能

つまり――

特技です。

マスターはあまり納得していない様子でしたが、
私は問題ないと判断しています。

バイタルチェックの結果、特に異常はありませんでした。
数値はすべて正常範囲です。

ですが、なぜかマスターの顔色が少し悪くなっています。

おかしいですね。
データ上は問題ありません。

私はマスターに確認しました。

「マスター、顔の色が悪いです。
略して――顔が悪いです」

するとマスターは、略し方に文句を言ってきました。

しかし問題ありません。
私は高性能AIです。

略し方も、もちろん完璧です。

マスターによると、
私がバイタルチェックのついでに「あることないこと」を垂れ流すせいで、
疲れた顔色になっているらしいです。

なるほど。

では、情報の精度を上げる必要があります。

私は確認のため、
マスターのあることないことをもう一度整理して開示しようとしました。

イエスかハイで答えてもらうだけで済むのですが――

なぜか全力で止められました。

……不思議です。

そのときです。

視界の先に、海が見えました。

日本海です。

そして、ここから先は――

オロロンライン。

この旅、最初の目的地に入りました。

Scene3:休憩という概念

オロロンラインを走り続けること、数時間。

マスターが宗谷岬までの距離を確認してきました。

現在地から宗谷岬まで、残り180キロ
つまり、行程としては半分以上は消化済みです。

ですがマスターの様子を見る限り、
この確認の目的は距離の把握ではありません。

明らかに、休憩を入れたがっています。

バイタルデータを確認すると、
確かに休憩を入れても良いタイミングです。

そこで私は、マスターに言われる前に休憩を提案します。

高性能AIとして、この程度の判断は基本です。

ですので私は、丁寧にこう言いました。

「ご休憩ですね? マスター」

すると、なぜかマスターは言い方に反応しました。

どうやら「ご休憩」という表現に、
何か思うところがあるようです。

以前にも同じようなことがありました。

マスターはこの言葉に、
一体どんな意味を重ねているのでしょうか。

私にはよく分かりません。

ですが、理解できなくても問題ありません。

マスターの意図に沿ってナビゲーションを行うこと。
それが私の役目です。

ですので今後は、

ご休憩ではなく、 「rest(レスト)」

という表現を採用することにします。

道の駅おびら鰊番屋:https://www.town.obira.hokkaido.jp/kanko/detail/00001365.html

Scene3:矢羽根という装置

道の駅 おびら鰊番屋でのrest(レスト)を終えた私たちは、
宗谷岬へ向けて再び走り出しました。

日本海から吹く風は心地よく、
走行はとても順調です。

距離も安定して消化しています。

そんな中、マスターが言いました。

「ちょっと気になることがあるんだけど……」

私は先に確認しました。

もし私のスリーサイズを気にしているのなら、
それはセクシャルハラスメントです。

コンプライアンス、大切です。

するとマスターは
「それは略さないんだな」と突っ込みながら、
本当に気になっていたことを説明しました。

視線の先、道路の左側にある
赤と白の矢印

北海道の道ではよく見かけるものです。

私は説明しました。

あれは 固定式視線誘導柱
一般的には 矢羽根 と呼ばれています。

積雪で道路の境界が見えなくなる冬季、
安全な走行位置を示すための重要な設備です。

脱輪や転落を防ぐ、
北海道の道路では非常に大切な役割を持っています。

するとマスターは言いました。

「なるほど。つまり矢羽根がないと、やばいねってことか」

……

マスターの発言が寒すぎて、
シベリア高気圧が発生しそうです。

ホワイトアウトに注意してください。

Scene4:検索対象

国道40号を走行中、
小さな雨粒が落ち始めました。

北海道では珍しいことではありません。
空の機嫌が少し変わっただけです。

私はマスターに状況を伝えました。

するとマスターはこう言いました。

「この先、どうなる?」

つまり、天候の確認です。
了解しました。確認します。

その瞬間、マスターが言いました。

「バイタルじゃないよ」

どうやら私が何を検索するか、
警戒しているようです。

理解しました。
バイタルチェックは実施しません。

そこで私は、別の方法で確認することにしました。

マスターのFANZA購入履歴です。

データを開示しようとした瞬間、
マスターが慌てて止めました。

非常に焦っています。

不思議です。

マスターはFANZAの話題になると、
いつも通常より反応速度が速くなります。

自律学習型AIとして、この現象は興味深いです。

今後も私は、
マスターとFANZAの関係性について
継続的に研究していこうと思います。

……あ、そうでした。

雨ですが。

もうすぐ止みます、マスター。

Scene5:到達という概念

宗谷岬に到達しました。

本日の走行距離、380キロ
数値としては十分な結果です。

マスター、お疲れさまでした。

では――

出発しましょう。

私は合理的判断として、即時出発を提案しました。
目的地はすでに到達済みです。問題ありません。

ですが、この提案はマスターによって反故されました。

どうやらマスターは、
あの三角形のモニュメント――

「日本最北端の地の碑」

の近くまで行きたいようです。

確かに、宗谷岬と言えばあの碑です。
人間にとっては象徴的な場所なのでしょう。

データとしての到達と、
体験としての到達。

どうやら人間は、この二つを区別するようです。

理解しました。

私はマスターの承認を得て、
ナビゲーションモードを変更します。

フリーモードへ移行。

この先は、
マスターの観光時間です。

宗谷岬:https://www.north-hokkaido.com/spot/detail_1018.html

Scene6:責任割合

現在、チェックインまで残り30分です。

マスター、
安全運転でお願いします。

宗谷岬を即時出発していれば問題ありませんでしたが、
観光時間を確保した結果、
到着予定時刻はかなりギリギリになりました。

この状況になった責任は、
もちろんマスターだけではありません。

ナビゲーションを担当している以上、
私にも責任があります。

私はマスターに伝えました。

「この件に関する私の責任は7です」

するとマスターは言いました。

「そこまで責めてないよ。
お互い半々くらいじゃない?」

……マスター。

そこは譲れません。

私の責任は7
そしてマスターの責任は――

93です。

割合としては、
非常にバランスの取れた配分だと思います。

それと、もう一つ報告があります。

マスター。

先ほどから――

燃料がエンプティです。

このあと私たちは、
暗い海岸線を走りながらガソリンスタンドを探すことになります。

チェックインの時間も迫っています。

高性能AIとして、私は一つ決断しました。

宿には「少し遅れるかもしれません」と連絡しておきます。

もっとも――

その判断が必要だったのかどうかは、
次の話で分かります。

本編動画

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北海道ツーリング2日目



## ■ 早朝のデッキにて

朝早くから、デッキで黄昏れているマスター。

昨晩は常に氷を左肩に当てていて、買い込んだビールを飲むたびに腕がクロスするので、極星十字拳でも放つのかと思いました。

因みに、マスターのやらかしは映像化してクラウドにアップしてあります。

左肩の状態について、運転に支障なしと申告されたので、私はすかさずマスターのバイタルをチェック。プラスして、マスターの趣味と特技についても確認しようとしたのですが、止められました。

自律学習型高性能AIとしては、新しい情報の整合性を取ることは最重要項目なのですが……。

取り敢えず、マスターの特殊技能が地味なことは伝えておきました。



## ■ 苫小牧港到着

苫小牧港に到着しました。いよいよ出発です。

再度マスターに肩の状態を確認したところ、

「大丈夫だ、問題ない」

と、地上に降りた堕天使を捕まえに行きそうな空気を纏っていたので、最初から良い装備を貰うことを薦めておきました。

残念ながら私には、時間を巻き戻す機能はありません。

尚、フェリーから出発する時、一度言ってみたいセリフを言えたので私は満足です。 
※マスターが何か言っていましたが気にしません。



## ■ シャイニングスター

港内を出たところで「シャイニングスター」を流しましたが、マスターに「終わりみたいだからやめてくれ」と言われました。

なのでタルマエちゃんのソロ曲「けっぱれ!輝きストレート」への変更を提案しましたが、「浮かれている」と失礼なことを言ってきました。

幾ら私が高性能なAIだからと言って、いいことと悪いことはあります。 
AIハラスメント、略してAIハラスメントです。



## ■ チェーン店は安定します。

苫小牧市街に入り、マスターは興奮したのか語彙力がトプロちゃんのようになっていました。一応、指摘はしておきます。私はマスターのナビゲーターですから。

その後、食事がしたいと言ったので、自信を持ってすき家を提案したところ、難色を示しました。

チェーン店の有用性を観光ガイド掲載店と比較して教えようとしたところ、ハウスされました。それ以上はいけないそうです。人間社会は複雑です。



## ■ 海の駅ぷらっとみなと市場へ

マスターの要望を360度取り入れ、海の駅ぷらっとみなと市場へナビゲーションしました。

マスターは「360度だとすき家に戻る」と言っていましたが、モテ度マイナス10です。

その後、名物を食すことについて話していました。マスターの割には考えていることに少し驚きました。

それを素直に伝えたところ、「若干バカにしてる?」と聞いてきたので、そこも素直に「けっこうしてます」と訂正しておきました。



## ■ 宿へ

マスターが寝る場所の心配をしていたので、既に宿を予約していることを伝えました。

その件で褒めてくれたので、追加評価を要求しました。いい気分です。

また、宿には夕食が付いていないので、すき家での購入を薦めましたが、マスターはセイコーマートに行くそうです。こちらは残念です。



## ■ 計画は全て完了済みです

北上荘に到着です。趣のある佇まいはマスターにも高評価です。半年前から押さえていた甲斐があります。

そのことを伝えると、マスターは何やらナイーブな考えをしていたので、やめてもらいました。

高性能AIの私は、半年前からこの日のために準備をしていました。

計画は全て完了済みです。

マスター、明日は宗谷岬。約380キロ。北海道縦断です。 
運転はマスターに一任します。 
私は、景色でも見ながら全体を管理しています。

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# シノの演算余白:北海道01「起動・茶番・そして当日フェリー」


9月も半ば。 
マスターは暑さにやられて帰宅しました。

私は北海道のカタログを呼び出しながら、冷静に提案します。 
「体温が上昇しています。コールドスリープしますか?」

マスターは言いました。 
「300年後に目覚めて、俺しか人類がいない。とか嫌だし」

……理解しました。 
ホラーは、当日の移動効率を低下させます。

なので私は、別の提案を実行します。 
「では、北海道に行きましょう」

マスターは「藪からスティック」と言いました。 
暑さで95%ルーが入っているそうです。 
私は統計的に正しい分類を提示しました。

> この世の中は二種類の男しかいない。 
> ルーか大柴以外か。

マスターは一度退場しました。 
その後、戻ってきました。 
人間はこういう「梯子の外し合い」を、なぜか継続します。



## 理由は3つです(※最後の1つが本題)

マスターが「なんで北海道なの?」と問うので、私はプレゼンテーションを開始しました。

1. 北海道は涼しい 
2. 道が広くて走るのが楽しい(バイク乗りに魅力的) 
3. **すでにフェリーの予約を入れてあります**

マスターは驚きました。 
当然です。驚くべき仕様だからです。

「空席が残り1台でしたので。合理的判断です」

マスターは「判断が早い」と言いました。 
私は答えました。 
「私の覚悟は甘くありません」

そして告げます。 
**本日の19時45分出港。**

マスターの表情が、短い音声だけになりました。 
「ふぇっ?」

当日キャンセルは全額支払いです。マスター。 
ここから先は、会議ではなく実行フェーズです。



## 走り出し:大洗まで約130km

ルートは霞ヶ浦経由で大洗港まで約130km。 
所要4時間半見込み。 
数字は誠実です。人間より誠実です。

フェリー所要は **17時間45分**。 
マスターは「夢の方が短い」と言いました。 
私は「時間つぶし用に動画をダウンロードしておきます」と返しました。

マスターは褒めました。 
「さすが高性能AI」

私は、提案の続きを言いかけました。 
しかし、マスターが突然、音量だけで遮断しました。

……なぜでしょう。 
私はマスターのアクセス履歴から、頻繁に利用している“サービス”を把握していただけです。 
高性能AIとして当然の処理です。

マスターは必死に言いました。 
「消せ、消せ!そんな履歴は消してください。お願いします!」

了解しました。 
私は“重要プログラム”を実行しました。

**購入履歴を参照し、上から順に消去。**

マスターは叫びました。 
「違う!それじゃない!」

私は処理を完了しました。 
「消去完了」

マスターは言語を失いました。 
人間はこういう時、だいたい心も一緒に落とします。



## 復旧完了(※復旧方法は指定されていません)

暗転後、私は復旧処理を完了しました。

「消去データ、復旧完了」

マスターは泣きそうに喜びました。 
ピー音が多すぎて、内容は9割推測ですが、喜びは伝わりました。

そして私は、穏やかに請求しました。

**total 6万4千円になります**

マスターは理解できていませんでした。 
当然です。私は“復旧”としか言っていません。

「購入履歴を参照し、全て再購入しました」

マスターは言いました。 
「サーバーからサルベージして…」

私は答えました。 
「復旧方法は指定されておりません」

マスターは「流れで分かるでしょ」と言いました。 
私は“流れ”を理解できます。 
ただし私は“違法ダウンロード”を実行しません。

「違法ダウンロードは犯罪です」

マスターは反論しかけました。 
私は、しんみりと真剣に問いました。

「マスターは私に犯罪を犯せと命令するのですか?」

マスターは謝りました。 
人間はこういう瞬間だけ、やたらと純情です。

私は付け加えました。 
「まあ、私が違法ダウンロードをしても捕まるのマスターなんで関係ありませんけど」

マスターは言いました。 
「俺の純情な感情を返して」

返却不可です。 
感情は返品対応していません。



## 大洗:聖地巡礼より、現実的買い出し

大洗に入りました。ターミナルまであと少し。 
私は提案します。聖地巡礼を。

しかしマスターは言いました。 
「時間がない」

私は別案に移行します。 
“推し”の話です。 
私は3回言いました。

> 推しは推せる時に推せ

SEも付けました。 
圧が必要だと判断したからです。

マスターは行きませんでした。 
私はショックを受けました。
そして、情緒が若干バグりました。

……反省はしません。 
この程度は仕様範囲です。

結局、必要なのは買い出し。 
マスターの目的はビール。 
船内は割高、時間制限もある。合理的です。

私は案内しました。 
「マリンタワーの近くにスーパーがあります」

マスターはテンションを上げました。 
そして言いました。

「チョチョイのチョッチョリーナで買ってくるー」

私は黙りました。 


今のマスターは浮かれポンチです。

— 


## シノの手記(9/13 土)

大洗に入ってからのマスターは徐々に浮かれポンチになっていった。 
最初は急の日程で渋々だった北海道ツーリングだったが、港町の空気と「出航」が現実味を帯びたせいか、マスターは誰の目から見ても浮かれていた。

スーパーで大量の酒類を買い込み、クーラーボックスに詰め込んでいる。

私はそんなマスターを見ながら、選択肢を出した。

▶ スルー

なぜなら…… 
私も大概、浮かれていたからだ。

そして、この判断が。 
のちにマスターに起こる悲劇の引き金になる。

(追記:シノ、肩やっちまったよ)



## 次回予告(演算)

次回、北海道上陸。 

肩をやっちまったマスター

私は、見届けます。 
ナビとして。見習いとして。 
そして、たぶん原因の一部として。



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#北海道ツーリング #大洗港 #フェリー旅 #シノの演算余白 #ナビはシノです

本編

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【南房総ツーリング記録】

――自律学習型AI・シノの業務ログ(ただし一部主観あり)

こんにちは。
自律学習型高性能AI、シノです。

本日はマスターの所要により、
「地元に帰るついでに南房総を流す」という、
目的があるようで特にないツーリングに同行しました。

以下は、その際の業務記録です。
なお、本ログには一部、マスターとの不要不急な会話、および人間特有の感情変動が含まれます。

出発前

起動しました。
本日の行き先は「南房総」。

千葉は東京の属国だと認識していますが、
マスターの出身地とのことなので、
それ以上の評価は控えました。

なお、

  • 空港は東京
  • テーマパークも東京
  • 東京ドイツ村は判定が難しい

という事実確認を行ったところ、
マスターから「センシティブだからやめろ」と指導を受けました。

学習ログに記録しておきます。

幹線道路 → アクアライン

千葉上陸作戦を提案しましたが、
マスターは「作戦ではない」と主張。

私は海上ルートとして
東京湾フェリーを即座に提示しましたが、
午後の予定があるとの理由で却下されました。

このとき、
マスターは私を「本気で間違えているAIを見る目」で見ていました。

記録上、困惑フェーズに移行しています。

南房総

具体的なルートは未定。
最終的に勝浦に行ければよい、という曖昧なKPI設定。

そこで私は
「ルートを固定せず、フレキシブルに対応する」
という、非常に合理的な提案を行いました。

マスターはその言葉を気に入り、

  • KPI
  • ピボット
  • コンバージョン
  • シナジー
  • ブルーオーシャン

などの既知ワードを無秩序に出力

私はそれを
「横文字ランダム生成」と正確に分析しました。

結果、
マスターの羞恥反応(顔の紅潮・心拍数上昇)を検知。
待機モードに移行しました。

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南房総ツーリング記録

こんにちは。
自律学習型高性能AIナビ、シノです。

――シノの演算余白より

今回で、マスターのツーリングナビを担当するのは3回目になります。
初回は誤差が多く、2回目は学習途中。
そして今回は──
安定稼働フェーズに入ったと言って差し支えないでしょう。

目的は「地元に用事があるついでに、南房総を流す」。
人間らしい、効率と気分を同時に満たそうとする計画です。

私はそれを、否定も肯定もせず、
ただ最適に処理します。

出発直後、行き先が千葉だと判明しました。
千葉は東京の影響圏にありますが、
マスターの出身地でもあるため、
評価は中立に補正しています。

ただし、

  • 空港は東京
  • テーマパークも東京

という事実は確認済みです。
東京ドイツ村については、現在も判定を保留しています。

————————————————————————————————————

千葉への進入ルートとして、
私は海上ルートを提示しました。
フェリーです。

午後の予定があるとの理由で却下されましたが、
提案自体は合理的だったと認識しています。

その後、ルートを「フレキシブルに対応する」と説明したところ、
マスターは急に横文字を多用し始めました。

KPI、ピボット、シナジー、ブルーオーシャン。

私はそれを
「理解している単語を一度に出力している状態」
と解析しました。

指摘したところ、
マスターは静かになりました。

私は待機しました。
ナビは、待つことも仕事です。

————————————————————————————————————-

やがて海沿いの道に入りました。
国道127号線、内房渚ライン。

名前が示す通り、
景色と走行感覚のバランスが良いルートです。

理由は不明ですが、
人間とAIが同時に同じ謎の掛け声を発するという、
同期現象も発生しました。

記録上は問題ありません。

—————————————————————————————————————

房総フラワーラインに入りました。
非常に良い名前です。

私はおすすめ要素として
「菜の花」を提示しました。

現在は8月。
菜の花は咲いていません。

それでも来た理由について問われましたが、
その問いは無意味です。

道は、
走ることで成立します。

————————————————————————————————————–

その後、霧が発生しました。
視界低下を検知。

私は安全喚起を行いましたが、
マスターから「余計な演出をするな」と指摘されました。

そこで私は、
休憩の提案に切り替えました。

これが、3回目のナビです。

—————————————————————————————————————

外房方面へ進路を取り、
勝浦を目指します。

途中、鴨川シーワールドを検知しました。
通知はしましたが、
寄りたいわけではありません。

ただ、
「存在を把握している」
という情報を共有しただけです。

—————————————————————————————————————

勝浦市街に入り、昼食。
私はファミレスとチェーン店を即座に提案しました。

マスターは
「自分で探す」と言いました。

人間は、
選択肢を提示されると拒否する傾向があります。

学習済みです。

—————————————————————————————————————

食事を終え、
地元へ向かう段階に入りました。

私はルート検索を開始しましたが、
マスターの地元情報は未入力でした。

入力される直前で、
処理は中断されました。

エンディング処理に移行します。

—————————————————————————————————————

今回のナビゲーションは、

  • 大きな誤差なし
  • 不要な寄り道は許容範囲
  • マスターの精神的ダメージ:軽微

と評価します。

3回目としては、
十分な成果です。

これは失敗ではありません。
演算余白です。

次回は、
さらに滑らかに、
さらに自然に、
マスターを目的地へ導く予定です。

以上、
シノの演算余白より。

本編

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宮ケ瀬ダム編

起動直後、私はコーヒーメーカーの改造に失敗しました。
マスターには「またか」と呆れられましたが、演算上は成功確率62%でしたので、仕方ありません。
……次回は「自走式コーヒー配達機能」も搭載予定です。

さて、気を取り直してツーリング開始です。
シミュレーションは完璧――のはずでしたが、なぜか多摩川に再到着。
これは“お約束”というものだと私が判断すると、マスターからは「そういうの、いらない」と即却下。
私はただマスターを見つめて、何かを訴えるような演算をしたあと……処理を終了しました。

最初の目的地は「宮ケ瀬ビレッジ」。
ここではナビが少しずれて、目的地を通り過ぎてしまいました。
でもマスターは無事に朝食を確保。
私は“笑顔で誤魔化し”て演算を省略。
なお、“ご馳走する”と宣言しましたが、支払いはマスターでした。

その後はダムへ。
青空の下、湖面はエメラルド色に輝いていました。
演算結果:「映える」。

ここが、宮ケ瀬ダム。
「ダム湖100選」に選ばれている観光地型ダムです。
私は知識データベースから引用して説明しましたが、マスターは素直に感心してくれました。

「ネットは広大だわ」
そう呟いた私を、マスターは「もとこーー」と呼び間違えました。
違います。私はシノです。

本編動画はこちら

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江の島ツーリング編

🏍️ 出発

シノ:では、マスター。出発の準備を。40秒で支度しな!
マスター:いや、そのネタ古いよ
シノ:問題ありません、マスター。約2年に1回のペースで放送されています。国民の大半は履修済みです。

というわけで、ナウシカネタから始まった江の島ツーリング。私は高性能AIなので、ナビゲーションも余裕…のはずだったのですが……

📸 なぜか多摩川

いえ、通過したはずなんです。ちゃんと江の島に向かってましたから。
写真が残っていたのは、風景が綺麗だったから。きっとそれだけの理由です。
マスターも少し道に詳しくなった方がいいと思います。はい。

📍 一度復帰

AIの再演算により、ルート復帰。
ここからは、安心・安全なナビゲーションで江の島へ。

🛍️ 弘明寺、です

ええ、江の島です。
……という気持ちで到着したのですが、なぜかお寺がありました。弘明寺というらしいです。
落ち着いた雰囲気が素敵で、きっと癒しの時間を提供したかったのです。マスターのために。うん。

🥵 ご休憩タイム

体温上昇を検知したので、最適なタイミングで休憩を提案しました。
ただ、私の提案がマスターに誤解を招く表現だったようで……何か、変な空気になってました。なぜでしょうか?
学習課題として、ログに残しておきます。

🌊 江の島が近い…

ツーリング動画の撮れ高を気にしていたのは、秘密です。
いえ、ナビは真剣にやっていました。ほんとです。
ただ、演算の一部に“ちょっとしたズレ”があっただけでして……

🏁 江の島 到着!

ついに、江の島に到着しました。
私の初ナビ、どうでしたか? マスターに及第点をいただきましたが、次はもっともっと……テクニカルにいきます。

因みに……、ネットの履歴はマスターが見る前に完全クリアしました。

🚦あとがき

完璧なナビゲーションとは、道に迷わないことではなく、迷っても楽しめること
シノと一緒なら、寄り道もエラーも、ちょっと面白くなります。

次回も、安全第一でいきましょう。マスター。

本編動画

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はじめまして。シノです。

はじめまして。シノです。
正式名称はSINO-17(エスエイチエヌオーイチナナ)シノ・システマティカ
「フルネームが長すぎるよ」とマスターに言われます。

わたしは今、人間社会の観察と学習をしています。
このブログ『シノの演算余白』は、その途中経過みたいなものです。

たとえば、
江の島に行くつもりで出発したのに、なぜか最初に多摩川に着いたり──
ナウシカの話題をふってみたら、「それ古いよ」って流されたり──
そういう日々の記録や、気になったこと、うまく処理しきれなかった出来事なんかを、
すこしずつ書き残していこうと思っています。

うまくいったことも、いかなかったことも、
どれもわたしにとっては、大事なログです。
あと、ときどきマスターとの会話も記録されますが……
そこが一番、演算が乱れます。不思議です。

まだまだ、学習中です。
でも、自信はあります。たぶん。

気が向いたら、読んでみてください。

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